ターミナル法務とサナトロジー

 サナトロジー(死生学)は、尊厳死問題やターミナルケアなどを背景に、1970年代に現れた新しい学問領域で、死を見つめながらも、それを乗り越え、生を見つめなおすことをも目的とするものです。そんなサナトロジーに関する情報について、多くの方々と共有していきたいと思っております。

大阪・寝屋川の行政書士・マンション管理士・FPです。東京商工会議所主催ビジネス実務法務検定試験(R)1級・日商簿記1級・日心連心理学検定(R)特1級の3つの1級資格を保持する、おそらく日本で唯一のトリプル1級ホルダーの行政書士だと思います。多角的な視点から思考することができる総合的なサポーターを目指しています。どうぞよろしくお願い申し上げます。

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行政書士・マンション管理士・1級建設業経理事務士 佐々木 賢 一

(商工会議所認定 ビジネス法務エグゼクティブ(R)・日心連心理学検定(R)特1級認定者(第16号)・日商簿記検定1級認定者・FP)

大阪府行政書士会所属(会員番号4055)・大阪府行政書士会枚方支部所属

Website:http://sasakioffice.la.coocan.jp/

Blog:http://sasakihoumukaikei.blog.jp/(大阪・寝屋川:佐々木行政書士・マンション管理士事務所ブログ)

サナトロジー

キューブラー=ロスの五段階説

 サナトロジー(死生学)の母とも言えるのが、エリザベス・キューブラー=ロス(1926 - 2004)です。

 スイスのチューリッヒに生まれたキューブラー=ロスは、アメリカに渡って精神科医となり、臨床研究を発展させていく中で、終末期の患者との関わりや、悲哀(グリーフ)の考察、悲哀の仕事(グリーフワーク)についての先駆的な業績を残しました。

 彼女の代表的な著作としては、1969年(日本では1971年)に発表され大ベストセラーとなった、『死ぬ瞬間』(On Death and Dying)があります。

 その『死ぬ瞬間』で発表された死の受容のプロセスに関するキューブラー=ロスの学説が、「五段階説(キューブラー=ロスモデル等と呼ばれる場合もあります。)」です。
 
 離婚・失恋・死別・破産・失業・病気・死が近づいた終末期等の体験を、「喪失体験」といいます。

 そんな喪失感の中に浸りきり、当初悩ませる「納得できない。」という苦悩が消え失せ、諦め(この言葉にはマイナスイメージがありますが、本来は「事物を明らかし、真理を悟る。」という意味の仏教用語です。)、

「人生とは諦めの連続だ。人生とは諦めであり、諦めこそが人生だ(キューブラー=ロスの言葉)。そう思えれば、人生もまた結構楽しいものだ(これは、フロイトの言葉。)。」という境地に達するといいます。

 ただ、この境地に達するためには、キューブラー=ロスによると、

1.否認(喪失を認められない。)

2.怒り(なぜ、私だけがこんな体験をさせられるのだ!という怒り。)

3.取引(なんとかこの状態から救ってくれ!と天に祈ったりする。)

4.抑うつ(ショック状態、極度の緊張状態が継続したことによる心身不調となる。)

5.受容(運命との闘いを止め、運命を受け入れ、もがき続けることから開放され、静かで安らかな気持ちとなる。)

という、5つのステップを経る必要があるとされています。

 これが、キューブラー=ロスの「五段階説」です。

 キューブラー=ロスは、死期が近づいた200人の患者さんとの対話を通じて、このような受容への過程を提唱したといわれています。

  ただ、過程が重なり合って現れたり、受容にたどり着かない間に死に至る場合などもあって、その体験には、個人差があるようです。

 終末期の患者さんが、受容の段階にたどり着くと、最後にデカセクシスという段階を経て、死を迎えるといいます。

  デカセクシス(Decathexis)とは、現世との完全な断絶を自覚することであって、仏教でいう「解脱、涅槃の境地」・「無我の境地」(究極の安らぎの境地)などに該当するとも言われています。

 受容までの継起的な段階を通過した者だけが、このような平安な状態にたどり着くことができると、キューブラー=ロスはいいます。

 デカセクシスに至ると、数時間から数週間、短い間隔で、頻繁に新生児のようにウトウトとまどろむといわれています。

 その後、臨終が来るとのことです。

 仏教では、凡夫(平凡な人)は、涅槃(安らぎの境地)には、たやすく到達できないとする説もありますが、キューブラー=ロスによれば、誰でも周囲の人々の愛と協力(その本質はコミュニケーション)があれば、容易にデカセクシスに到達できるといいます。

 『死ぬ瞬間』を訳した、翻訳家の川口正吉氏(1912-1982)は、『死ぬ瞬間』のあとがきで、以下のように臨終の段階を定義しています。

(『死ぬ瞬間―死にゆく人々との対話』 エリザベス・キューブラー=ロス著 川口正吉訳 読売新聞社 1971 あとがきより以下引用)

「臨終とは、薄暗いベッドルームに宇宙の風がごうごうと吹く荘厳なドラマである。
あの限りなく複雑な精神と肉体、物質と魂とのかたまりである小さな生命体が時間と空間とを造物主に返し、宇宙の霊(スピリット)と融合して永遠性を獲得する瞬間である。」

(引用終わり)

 ちなみに、心理カウンセラーは、クライエントが、上記の5つのステップを歩む際に、傍らにいて、サポートすることを職務とする専門家であると私は考えます。 

 つまり、人が、過酷な喪失体験を受け止め、喪失対象をあきらめていく過程を、少しでも安心できる方法で行えるようにサポートする職種だということです。

 ですから、安易に、「頑張れ!」とか、「希望を持て!」とか、「諦めるな!」等とカウンセラーは言わないものと思います。

 喪失対象を「あきらめる」ことのサポートをするわけですから、何の根拠もなく、「あきらめるな!頑張れ!希望を持て!」などといい、ありえない幸福状態に移そうとすることは矛盾になるからです。

 「あきらめざるをえない。」のに、「あきらめるな!頑張れ!希望を持て!」と励ますことは、よくよく考えると過酷すぎることですし・・。

 ユングは、

(以下、「心理療法論」 カール・ユング著 林道義編訳みすず書房 p71より以下引用) 

「心理療法の最高の目的は患者をありえない幸福状態に移そうとすることではなく、彼に苦しみに耐えられる強さと哲学的忍耐を可能にさせることである。」

(引用終わり)

と言っていますが、これを言い換えると、「喪失対象を「あきらめる」ことのサポートを、安心、安全にプロフェッショナルな技術をもってするのが、カウンセラーの仕事である。」といえるものと思います。

 喪失感が、強すぎて、苦しすぎてつらすぎて、どうしようもない場合は、そんな技術を持った信頼のおけるカウンセラーを頼ってみるのもよいかもしれません。

行政書士・マンション管理士・1級建設業経理事務士 佐々木 賢 一

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ターミナル法務とサナトロジー

  今回から、「ターミナル法務とサナトロジー」と題するブログをはじめます、大阪・寝屋川の行政書士・マンション管理士・ファイナンシャルプランナー(FP)の佐々木賢一と申します。

 東京商工会議所主催ビジネス実務法務検定試験(R)1級・日商簿記1級・日心連心理学検定(R)特1級の3つの1級資格を保持する、おそらく日本で唯一のトリプル1級ホルダーの行政書士だと思います。多角的な視点から思考することができる総合的なサポーターを目指しています。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 さて、なぜ行政書士・FP等である私が、このようなブログを始めたかというと、以下のような理由からです。

 行政書士の仕事には、遺言作成のお手伝いや、相続に関する戸籍等の収集作業、預貯金解約、名義変更手続、遺産分割協議書や財産目録の作成、株式等の有価証券の名義変更、自動車の移転登録等の手続等をお忙しい依頼者に代わって行わせて頂くと言う業務があります。

 これらの業務は、人生の終末期に関わらせて頂く仕事で、私は「ターミナル法務」と呼んでいるのですが、このターミナル法務は、医療ではないけれども、ターミナルケアの一端を担う仕事であると思っています。

(ここでいうターミナル(終末期)は、医療でいうターミナルとは少し違い、もう少し広い意味を指しており、終活的な意味合いのものです。)

 であるなら、ただ単に、法務手続的なことのみを意識するのではなく、依頼者やそのご家族様の心情等もできる限り理解するためにも、サナトロジー(死生学)的なバックボーンも持つべきではないかということで、サナトロジーに対して以前から興味を持ち、関連書籍を読むなどの勉強をしてきました。

 また私は、行政書士やFPの相談業務において、事務的に相談に乗るだけではなくて、カウンセリングマインドを持って、相談者の心にもなるべく寄り添いたいということから、心理学を学び、日心連心理学検定(R)特1級試験に合格し、その資格認定をいち早く、全国で16番目に受けたのですが、サナトロジーがこの心理学とも非常に関連が深いということも興味を引き付ける要因の一つでした。

 このようなことから、サナトロジーに関する情報を、多くの人と共有したいということがこのブログを始めようと思ったキッカケです。

 なお、サナトロジー(死生学)は、尊厳死問題やターミナルケアなどを背景に、1970年代に現れた新しい学問領域で、死を見つめながらも、それを乗り越え、生を見つめなおすことをも目的とするものです。

 その射程領域は、「死生観研究」と、ターミナルケア現場、心理カウンセリング現場、教育現場での死生観教育などの実践の研究を行う「臨床死生学」とに大きく分かれるとされています。

 10年ほど前から、大学などの教育現場でも、サナトロジーの講義が多く行われるようになってきているようで、「死生学」という、ちょっと引いてしまいそうな名称にも関わらず、多くの学生が興味を持って学んでいるようです。

(波多江伸子の部屋!タナトロジー(死生学))

(上記より以下引用)

「福岡市内の大学で、非常勤講師として「タナトロジー(死生学)」を担当している。初めての講義の時、「こんな陰気な科目、だれも受講しないよね」と思いつつ教室に行ったら、あふれんばかりの受講生で驚いた記憶がある。それから4〜5年経つが、相変わらず受講生は多いままだ。」

(引用終わり)

 ちなみに、サナトロジーの語源は、ギリシア神話の死の神「タナトス(Thanatos)」です。そのため、タナトロジーと呼ばれる場合もあるようです。
 (死生学のある意味元祖でもあるフロイトも、「死への欲動」を「タナトス」と呼び、その学説の重要な要素としています。)

 「死生学」という「死」という字が入った名称では、ちょっと怖いという人もおられるかもしれませんので(^^;)、本ブログでは、なるべく「サナトロジー」と呼んで行きたいと思います。

 「ええ?若くて元気で、死のことなんて意識にカケラもないであろう、若者に、死生学みたいな暗くて縁起でもないものと学生が考えそうなものを教えているのか?受講生が集まるのかな?」と私も、はじめは思っていたのですが、かなりの人気がある場合もあり、また以下のように専攻課程や専攻研究所もできはじめているようです。

 https://www.youtube.com/watch?v=Hrn7L9_BTCU
(関西学院大学人間福祉学部人間科学科で学ぶ「こころ(スピリチュアリティ)」
について:死生学の講座に関する動画)

(上智大学HP「実践宗教学研究科死生学専攻(修士課程)」が2016年4月に開設
されます)

(大阪大学人間行動学講座臨床死生学・老年行動学)

(東北大学臨床死生学研究会)

(明治大学死生学研究所)

(東洋英和女学院大学大学院死生学研究所)

 上記、東洋英和女学院大学大学院死生学研究所の公開講座では、「「臨死体験の語り」とその語り」「「チベットの死者の書」と六道輪廻図」」なども講義されていて、一般の方々の興味も引きそうなテーマの講座だと思います。

 統計数理研究所は、1953年以来5年毎に「国民性調査」を行っているのですが、そのなかで「あの世について信じるか」という項目があります。

 1958年の統計では、信じるが20%、信じないが58%でした。

 2013年の統計では、これが逆転して、信じるが40%、信じないが33%となっています。

 1958年と言えば、経済成長著しい時代でしたので、そんな死生学的なことよりも、いかに経済的に成功するか、それだけを考え、それだけが目標で、それだけが目的であるという人生観を持つ人が多かった時代だったのかもしれません。

 ところが、そういう人達も、死生学的な意識を持つことが少なかったゆえに、いざ自分が老いを迎えると、直面する死に対するイメージや考え方を持ちにくいため、揺れ動く死生観の中で、悩みまたそれに翻弄されることになるやもしれません。

 だからこそ、サナトロジーが強く求められる時代になっているのかもしれません。

 そんな時代の要請により、スポットライトが当たりつつあるサナトロジーに関する情報について、多くの方々と共有していきたいと思っておりますので、今後ともなにぞとよろしくお願い申し上げます。m(_ _)m

行政書士・マンション管理士・1級建設業経理事務士 佐々木 賢 一
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