アメリカの精神科医、ニューヨーク市立大学名誉教授、ロバート・リフトン氏によれば、人はいつでも「生きている実感」を強く感じようとする一方で、生の有限性を超えた無限の何かとつながることで、「永遠の生命」を得ようともし、その両方の思いの中で揺れ動くとのことです。
後者の思いを象徴化したものを「象徴的不死」といい、これには5つのモードがあるといいます。
① 生物学的モード・・不死性を、子孫が永遠に絶えないということにたくすモード。
② 神学的モード・・不死性を、永遠不滅の魂の存在にたくすモード。
③ 創造的モード・・不死性を、死後も永遠に語り継がれる自身の業績・名誉にたくすモード。
④ 自然的モード・・不死性を、永遠不滅であると観念される自然に、自身を一体化させて、たくすモード。
⑤ 経験的超越モード・・不死性を、悟りなどの神秘体験を得ることにより生死を超越することによって、たくすモード。
これらのモードは、単独で存在する場合もあれば、複数が重なり合って存在する場合もあるとのことです。
例えば、結婚相手に優秀な人を望むという場合は、①生物学的モードと③創造的モードが重なり合っていると思えますし、
霊山を修行の場として厳しい修行を行うことにより超自然的な能力「験力」を得て、衆生の救済を目指すという修験道の山伏は、上記の①以外の全てが重なっているモードかもしれません。
霊山を修行の場として厳しい修行を行うことにより超自然的な能力「験力」を得て、衆生の救済を目指すという修験道の山伏は、上記の①以外の全てが重なっているモードかもしれません。
かつて死生観は、宗教などが体系化し、またそれを人々が共有していたわけですが、現代日本においてはとりわけ戦後の様々な事情から宗教に対する忌避観が強まり、
あるいは宗教観が希薄化し、死生観を宗教に頼るということができない場合が多くなっているものと思われます。
あるいは宗教観が希薄化し、死生観を宗教に頼るということができない場合が多くなっているものと思われます。
こうなってくると、信仰を持つことなく、安らぎを得られる死生観を求める場合、自身でそれを体系化する必要が出てきます。
哲学的死生観・心理学的死生観・スピリチュアル死生観などを参考にしつつ、象徴的不死の5つのモードのうち、いずれかを選びあるいはいずれかを組み合わせて、体系化し、紡いでいく必要があるということです。
哲学的死生観・心理学的死生観・スピリチュアル死生観などを参考にしつつ、象徴的不死の5つのモードのうち、いずれかを選びあるいはいずれかを組み合わせて、体系化し、紡いでいく必要があるということです。
ただ、非常に安易に、自身による深い考察なしに、例えば、悪質な反社会的カルトなどが提供する、上記⑤経験的超越モード的なプログラムによってそれを得ようとすると、様々な問題を引き起こすことになります。
そういう意味からも、死生学(サナトロジー)に親しんだり、欧米などでは、学校教育の場でもすでに行われている、
日本における死生学のパイオニア、哲学者のアルフォンス・デーケン上智大学名誉教授が、
日本にも広めようと尽力されている、デス・エデュケーション(Death Education:死への準備教育)を行うことが重要になってくるものと思われます。
日本における死生学のパイオニア、哲学者のアルフォンス・デーケン上智大学名誉教授が、
日本にも広めようと尽力されている、デス・エデュケーション(Death Education:死への準備教育)を行うことが重要になってくるものと思われます。
医学や公衆衛生が不十分な時代は、死が日常に溢れ、身近にあり、身近な人は家で亡くなり、葬儀なども家で行うことによって、成長過程の中で人は何度も、人の死を体験していました。
そのような時代なら改めてデス・エデュケーションを行う必要はなく、日常の生活そのものが、デス・エデュケーションとなっていたものと思われます。
ところが、医学の近代化、現代化により、人は病院で亡くなり、葬儀も葬祭ホールなどで行われるようになり、死が身近ではなくなりました。
人は身近でないものを恐れ、恐れるものは遠ざけようとします。
人は身近でないものを恐れ、恐れるものは遠ざけようとします。
加えて、経済的に豊かとなり、栄養状態の改善、医学の進歩等によって、長寿となり、また楽しめる娯楽も増え、宗教に対する忌避観や希薄観が高まり、現世への愛着も強まったと思われることもあいまって、死は日常からさらに遠ざけられ、口にすることもはばかれるものとなりました。これを「死のタブー化」といいます。
「死のタブー化」により、体系化された死生観を持つことなく、はじめてそれを意識することになるのは、身近な人や自身が終末期に至った場合や身近な人との死別体験のときかもしれません。
このような場合の苦悩は、サナトロジーに親しむことや、デス・エデュケーションを受けることによって、緩和される場合もあり、またそうすることによって、真摯な生き方や生命への畏敬の念を子供達に学んでもらうということもできるものと思います。
こういうことから、日本においても、学校の授業科目や、医療・介護・社会福祉等のターミナル・ケア関係者の研修科目として、サナトロジーを設けるところや、デス・エデュケーションを行うところも増えてきているようですが、欧米のように一般化し、市民権を得たとまではいえず、さらなるサナトロジーや、デス・エデュケーションの普及が望まれるところです。
参考文献)『社会学がわかる辞典』 森下伸也著 日本実業出版 2004年 第12刷
行政書士・マンション管理士・1級建設業経理事務士 佐々木 賢 一
行政書士・マンション管理士・1級建設業経理事務士 佐々木 賢 一
(商工会議所認定 ビジネス法務エグゼクティブ(R)・日心連心理学検定(R)特1級認定者(第16号)・日商簿記検定1級認定者・FP)
大阪府行政書士会所属(会員番号4055)・大阪府行政書士会枚方支部所属
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