ターミナル(終末期)ケアでは、「全人的ケア」が必要だとされています。

 身体的痛みへのケアのみならず、精神的な痛み、社会的な痛み、スピリチュアルな痛み等、あらゆる痛みに対するケアのことを、「全人的ケア」といいます。

 社会的な痛みには、社会的つながりが隔絶されてしまうという痛みであったり、遺言・相続等に対する悩み等があることでしょう。

 なお、行政書士等の士業者は、このような社会的痛みに対するターミナルケアの一端を、遺言や相続等のお手伝いを行うということで担います。

http://www.circam.jp/reports/02/detail/id=3177

(「臨床宗教師」の可能性を社会のニーズから探る~「臨床宗教師」をめぐる考察 前編~ 宗教情報センターサイト)

 上記リンク先によれば、「両親と死別した場合、家族以外で悩みなどを相談するであろう人、頼るであろう人」として、「行政書士等の士業者に頼りたいという人」が、約1割いるという統計が出ています。

 この数値は、「医療関係者や行政に相談したい」という人の割合と同じで、さらに、宗教関係者の5.7%、介護関係者の5.5%、臨床心理士、カウンセラーなどの1.3%よりも高い数値です。

 死別後に生じる悩みの相談を、行政書士等にしたいと期待されている方の割合がかなり高いようです。

 この悩みの中には、遺言・相続等の手続的なことだけではなくて、死生学的な悩みも含まれているのではないかと私は思います。

 とするならば、行政書士等の士業者も、相続・遺言等のターミナル法務に関連する依頼を承る場合、カウンセリング的アプローチや死生学的アプローチを採ることは、有用だと思われます。

 カウンセリングマインドがある行政書士等なら、相続・遺言等に関する手続のお手伝いを行うに留まらず、さらに、社会的つながりがなくなってしまうという痛みに対するケアや、精神的な痛みのケアのお手伝いも、ささやかながらできることでしょう。

 これらは、人工知能が進化しても替わってやることができない、生身の人と人とのつながりによるもので、人工知能が人間に対抗できないところだと思います。

(本格的な精神的痛みに関するケアは、精神科医や、カウンセラー等の心理学者が担当することになります。)

 さらに、死生学に興味を持つ行政書士等ならスピリチュアルケアのお手伝いもできるかもしれません。

(本格的なスピリチュアルケアは、宗教者やスピリチュアルカウンセラー、スピリチュアルケア・ワーカー等が担当することになります。)

 なお、「スピリチュアルな痛み」とは、普遍的、実存的な意味を含んだ悩みであって、

「人は、なぜ生まれてきて、なぜ、なんの目的で人生を生き、なぜこういう生き方をしてきて、そしてなぜ死ぬのか?死んだ後はどうなるのか?」

といったような根源的疑問であって、

終末期や死別に遭う事態においてこのような疑問が生まれてきてしまい、この疑問によって苦悩するということです。

 若い時に、死生学などに親しんでいるのであれば、このような苦悩も若干緩和されるかもしれませんが、高度成長期やバブル期を生き、このような根源的疑問なんて、終末期や死別に遭う事態になるまで思ってみたこともなかったという人こそ、大きな悩みを抱えることになるやもしれません。

 行政書士等のクライエントがそのような悩みを口にしたとき、ただ黙って頷きながら聴くだけでも、スピリチュアルケアのお手伝いはできるかと思います。

 ただ、死生観などについて、今まであまり深い洞察をしてこなかった士業者側に対して、思いもよらないような死生観を、クライエントが語った場合、

士業者側が、心の中で「そんな話は信じられない。そんなことは絶対にあるわけがない。」等と思ってしまい、それが雰囲気的に、クライエント側に伝わり、ケアどころか不快感を与え、トラブルになる可能性もあるかと思います。

 サナトロジー(死生学)を通じて、世界に多々ある様々な死生観を学んでおくと、クライエントが語る思いもよらない死生観を、たとえ心底信じられなくても、また心底信じ切る必要もないのですが、

ただ、「そういう死生観もあるのだなあ。この方の死生観も尊重しなければ。」と思うことが出来るかもしれず、そのクライエントの想いを尊重する姿勢は、相手方にも伝わり、クライエントの死生観に真正面から向き合わずに、関係悪化を招くということもなくなるのではないかと私は思います。

 いずれにしても、終末期における身体的痛み、精神的痛み、スピリチュアルな痛み全てを、多職者(医療関係者、心理学者、宗教者、スピリチュアルカウンセラー、士業者等)がチームを組んで支えることを、「全人的ケア」といい、このようなケアを行うことをホスピスケア、緩和ケアといいます。

 士業者は、非常にドライな社会科学たる法律・会計・資産管理等の専門家で、そういう社会科学的学識の専門家である士業者は、スピリチュアルという言葉に胡散臭さを感じられるかもしれませんが、WHOの緩和ケアの定義にもこの言葉は出てきています。

(緩和医療:ウィキペディア)

(上記より以下引用)

「痛みやその他の苦痛な症状から解放する。
生命(人生)を尊重し、死ぬことをごく自然な過程であると認める。
死を早めたり、引き延ばしたりしない。
患者のためにケアの心理的、霊的側面を統合する。
死を迎えるまで患者が人生をできる限り積極的に生きてゆけるように支える
患者の家族が、患者が病気のさなかや死別後に、生活に適応できるように支える
患者と家族のニーズを満たすためにチームアプローチを適用し、必要とあらば死
別後の家族らのカウンセリングも行う。
QOL(人生の質、生活の質)を高めて、病気の過程に良い影響を与える。」

(引用終わり)

上記4つめの「患者のためにケアの心理的、霊的側面を統合する(integrates
the psychological and spiritual aspects of patient care;)」という部分がそうです。

 なお、「患者の家族が、患者が病気のさなかや死別後に、生活に適応できるように支える、患者と家族のニーズを満たすためにチームアプローチを適用し、必要とあらば死別後の家族らのカウンセリングも行う。」

という部分、

つまり死別後の相続業務等を行う段階でのクライエントに対しても、前述もしましたように、カウンセリング的アプローチや死生学的アプローチは有用だと思われます。

行政書士・マンション管理士・1級建設業経理事務士 佐々木 賢 一

(商工会議所認定 ビジネス法務エグゼクティブ(R)・日心連心理学検定(R)特1級認定者(第16号)・日商簿記検定1級認定者・FP)

大阪府行政書士会所属(会員番号4055)・大阪府行政書士会枚方支部所属

Blog:http://sasakihoumukaikei.blog.jp/(大阪・寝屋川:佐々木行政書士・マンション管理士事務所ブログ)
 
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