死別を余儀なくされた周りの人達も、その悲しみ(グリーフ)を向き合う必要があり、キューブラー=ロスの「五段階説」に類似した心理的過程を辿ると言われています。

 死には、「一人称の死(自分の死)」・「二人称の死(家族や親しい人の死)」・「三人称の死(彼・彼女といった他人の死)」といったように、人称があるとフランスの哲学者ジャンケレヴィッチはいいますが、「二人称の死」においては、死別による悲嘆が、心身に様々な影響を及ぼし、「悲嘆反応」と呼ばれる状態を引き起こします。

 日本における死生学のパイオニア、アルフォンス・デーケン上智大学名誉教授によれば、死別体験をされた方々が見舞われる「悲嘆反応」は以下のような過程を辿るとしています。

1段階:「精神的打撃と麻痺状態」

  親しい人の死というこのうえなくショッキングな出来事により、現実感覚が一時的に麻痺します。ショックを少しでも和らげようとする本能的な心の働きからだと説明されています。

2段階:「否認」

 親しい人の死という事実を、感情も理性も否定します。

3段階:「パニック」

 死に直面したという恐怖により、極度のパニックが起きます。

4段階:「怒りと不当感」

 「なぜ、自分だけがこんなことに・・。」「どうしてこんな不条理なことが・・。」という感情から、強い怒りの感情を持ちます。

5段階:「敵意とルサンチマン(妬み)」

 やり場のない怒りの感情を、周囲の人々に対してぶつけます。

6段階:「罪意識」

 「もっとこうしていればよかった。」「もっとやさしくすればよかった。」等と、過去の行いを後悔し、また自分を責めます。

7段階:「空想形成」

 まだ故人が生存しているかのように思い込み、実生活の中でも、そのような幻想の中に浸り、振舞います。

8段階:「孤独感と抑鬱」

9段階:「精神的混乱とアパシー(無関心)」

 当たり前だった日常を失った空しさから、どうしていいのかわからなくなります。

10段階:「あきらめ 受容」

11段階:「新しい希望 ユーモアと笑いの再発見」

 ユーモアと笑いと取り戻しつつあることは、悲嘆プロセスを乗り超えつつある証だとのことです。

 アルフォンス・デーケン氏によれば、悲嘆時におけるこの段階のみならず、日常においても、ユーモアと笑いがとても大切だとのことです。

12段階:「立ち直りの段階 新しいアイデンティティの誕生」

 悲嘆のプロセスを乗り越えて、より成熟した人として生まれ変わります。

 この過程も、キューブラー=ロスの「五段階説」と同様、個人差があり、必ずしも誰しもがこのような順序通りに過程を辿るわけではなく、逆戻りしたり、段階が重複したりする場合もあるようです。

 このような悲嘆のプロセスを辿り、より成熟した人として生まれ変わることを「グリーフワーク(悲嘆の仕事)」といいます。

  グリーフワークを無理やりに早く済ませる手立てはなく、時間薬ではないですが、どうしても一定の時間の経過が必要となります。

  スムーズにグリーフワークを行うためには、信頼のおける人に想いを聴いてもらったり、場合によっては心理カウンセラー等の心の専門家のサポートを受けるということ(グリーフケア)も必要となります。

 また、喪失体験の事実を認められるようになったら、つらい感情などを表に素直に出し、泣きたくなったら泣くことも大切だということです。

 落ち着いてきたら、故人がもういないということに対して、心の整理をつけ、但し、故人のことを無理矢理に忘れるために努力するというようなことではなく、故人との関係を再構成する(いつもどこからか見守ってくれる存在になった等)ようにし、新しい自分の、新しい物語を、紡ぎ出すことができるよう新たな第一歩を踏み出していくことになります。

参考文献)

『よく生き よく笑い よき死と出会う』 アルフォンス・デーケン著 新潮社 2003年
『新版 死とどう向き合うか』 アルフォンス・デーケン著 NHK出版 2011年


行政書士・マンション管理士・1級建設業経理事務士 佐々木 賢 一

(商工会議所認定 ビジネス法務エグゼクティブ(R)・日心連心理学検定(R)特1級認定者(第16号)・日商簿記検定1級認定者・FP)

大阪府行政書士会所属(会員番号4055)・大阪府行政書士会枚方支部所属

Blog:http://sasakihoumukaikei.blog.jp/(大阪・寝屋川:佐々木行政書士・マンション管理士事務所ブログ)
 
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